• スポンサーリンク

失われた『ギルガメシュ叙事詩』の一節が描くもの

最古の文学作品とされる『ギルガメシュ叙事詩』について、新しい章が運命的に発見されたようです。

今まで詳細がわかっていなかった関係性や登場人物の思いなんかが判明したとか。

やっぱり古代文明は『今』ですな(*`・ω・´)

ギルガメシュ叙事詩は、古代メソポタミアで作られた人類初の文学作品で、旧約聖書の創世記の元になったともされてます。

新しく発見された部分はかなりドラマチックな展開だし、登場人物の思いを知ると、なんだか現在にも通じる話だなーと感心してしました。


Lost ‘Epic of Gilgamesh’ Verse Depicts Cacophonous Abode of Gods

歴史博物館と密輸業者の偶然の取引が、これまでに語られてきた最も有名な物語に新しい洞察をもたらした。その物語とは『ギルガメシュ叙事詩』である。

新しく発見された粘土版は、古代メソポタミアからの叙事詩の今まで知られていなかった『章』を明らかにしている。この新たな部分は、文学において静かな場所と考えられていた神々の森に、雑音と彩りを与えています。また、英雄達が耐えた内戦の詳細も明らかにしています。

2011年、イラク・クルディスタン地域のスレイマニヤ博物館は、知られている密輸業者から80から90セットの粘土板を購入しました。非営利出版のAncient History Et Ceteraによると、イラクの史跡や美術館からアメリカ主導の侵攻が始まった際に消えた遺物を取り戻すために、博物館はこれらの裏取引に従事しているとのこと。

購入した粘土板の中で、1つはロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)の中近東言語文化学科教授であるファルーク・アル・ラウィ氏にとって目立つものだった。アル・ラウィ氏がスレイマニヤ博物館に800ドルで購入するようアドバイスした時、楔形文字が深く刻まれた大きな粘土の塊は、まだ泥の中に固まっていました。 [In Photos: See the Treasures of Mesopotamia]

SOASの言語文化副学科長で”The Epic of Gilgamesh: A New Translation”の翻訳者であるアンドリュー・ジョージ氏の助けにより、アル・ラウィ氏は粘土板をわずか5日で翻訳しました。スレイマニヤ博物館はこの泥の遺物を古バビロニア期(2003-1595 B.C.)にまで遡るものだろうとしていますが、アル・ラウィ氏とジョージ氏はもう少し新しい時代である新バビロニア期(626-539 B.C.)に書かれたものだと信じています。

アル・ラウィ氏とジョージ氏はよく知られた物語が書かれた盗品の粘土板をすぐに発見した。それは史上初の叙事詩であり、人類文学初の偉業ともみなされる古代バビロニア物語『ギルガメシュ叙事詩』の主人公ギルガメシュの物語でした。時代が時代のために物語は『粘土板』に書かれ、それぞれの粘土板には物語の別の部分が語られていました。(現在でいう章分け)

アル・ラウィ氏とジョージ氏が翻訳したのはこれまで未解明とされていた5番目の粘土板の一部、ウルクの王ギルガメシュとエンキドゥ(ギルガメシュを妨害するために神に造られた野生人)が、フンババを倒すために杉の森(神々の住処)へ旅する物語についてでした。

新しい粘土板は、今まで叙事詩では知られていなかった20もの行を追加し、森についてどう見たり聞いたりしたかという詳細を明らかにしました。

『新しい粘土板では、他の粘土版では終わりとなるところから物語が続いています。そして杉の森が穏やかでも静かでもない場所であることを教えてくれます。そこには騒々しい鳥とセミがたくさんいて、猿は木の上で叫んでいました。』とジョージ氏はLive Scienceに対して電子メールで語りました。

宮廷生活のパロディで、怪物フンババはジャングルの雑音を一種の娯楽として扱っていて、『まるで「ジャングル・ブック」のキングルイのようだ』とジョージ氏。自然景観の鮮明な記述はバビロニア詩では『非常に貴重だ』と彼は続けます。

新しく見つかった詩の別の文では、他の部分でほのめかされていたことについて詳細を確実にしました。例えば、エンキドゥとフンババは子供の頃は仲間だったと明かされています。怪物を倒した後に、物語の英雄達は美しい森を破壊している間は少なくとも後悔を少し感じています。

『ギルガメシュとエンキドゥは故郷バビロニアに持ち帰るため杉を切り倒した。そして新しい文章は、森を荒地にしてしまうことは悪いことだから神々は混乱するだろう、というエンキドゥの認識を表現していると思われます。』、とジョージ氏は言う。森についての記述のような環境意識は古代の詩において非常に珍しい、と彼は付け加えました。

今では泥もなくなりすべて翻訳された粘土版は、現在スレイマニヤ博物館に展示されています。また、アル・ラウィ氏とジョージ氏の発見に関する概説論文は2014年に楔形文字研究ジャーナルから出版されました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

  • スポンサーリンク