北欧神話において、ラグナロクは世界の終わりを定める一連の終末的出来事で、霜と火の巨人がともに神々と最後には地球を破壊し海に沈める最終決戦を争います。伝説によると、世界は再び浮上し、生き残って戻ってきた神々は再会し、世界は2人の生存者によって再び人が増えていきました。
兄弟たちは互いに戦い殺し合い、姉妹の子供たちは血族を穢すでしょう。これは世界一残酷で、背徳が蔓延し、斧の時代、剣の時代、盾は引き裂かれる、風の時代、狼の時代、世界が真っ逆さまになる前に。他人への慈悲を持つ人間は1人もいない。
Dronke (1997:19)
神ロキは巨人の息子で変身能力を持つトリックスターとして知られています。北欧神話での彼の役割は独特で、現れては神々を助けたり邪魔したりと議論の的になります。また、彼はアース神族と共にアースガルズに住むことを許されています。彼は多くの子孫の父であり、その中にはオーディンに使われた8本足の馬スレイプニルやドラゴン、そして終末のラグナロクでの役割を担う狼フェンリルがいます。
物語によると、ロキは盲目の冬の神ヘズを騙し、結果として女神フリグと神オーディンの息子である神バルデルの死に繋がる行動を起こします。これにより彼は罰を受け、世界の終わりラグナロクの時まで崖にくくり付けられ取り残されてしまいます。これは古代ギリシャ神話において、人類に火を使う能力を与えたために岩にくくり付けられたプロメテウスの罰と類似しています。
キリスト教の黙示録のように、ラグナロクは最終的に時代の終わりを定める一連の兆候を決めています。最初の兆候はフィンブルの冬という、一年中絶え間なく降る雪を伴う長く続く寒い冬です。フィアラルと呼ばれる赤い雄鶏は巨人族にラグナロクの始まりを告げます。2羽目の雄鶏は全ての死人にラグナロクが始まったことを告げます。最後に、アースガルズの雄大な広間ヴァルハラに住むグリンカムビと呼ばれる3羽目の赤い雄鶏は全ての神々に終わりの始まりを告げます。
神ヘイムダルはトランペットを使ってヴァルハラ中に聞こえる明確な音色を奏で、これが死人を蘇らせて最終決戦が行われるヴィーグリーズ(戦いの場所)と呼ばれる土地に行進させます。海は引き裂かれ、自分の尻尾をくわえて地球を囲む巨大な世界蛇は戦いに参加するために深海から上がってきます。神バルデルとヘズは偉大な最終決戦を戦うために蘇ります。
ロキと霜の巨人の軍勢は、アース神族と戦うために死人の爪で作った幽霊船のような船でヴィーグリーズへ漕ぎ出します。炎の巨人スルトやヘルの犬Carm、狼フェンリル(フェンリス)、巨人のリーダー・フリュムなどの全ての怪物と巨人は、神々に対抗する強力な軍隊を作ります。
戦争の結果、トールやオーディンと多くの神々は死に、龍は地球の全生命を滅ぼす炎を吐き出します。
しかしこれで終わりではありません。生命は新たな種族とともに再び始まり、新世界が深い海の底から上がってきます。最初の2人の人間はリーヴ(女性)とリーヴスラシル(男性)と呼ばれ、彼らは地球を再生します。神ヴァーリとヴィーザル、同様に戦いを生き残ったトールとヘーニルの息子は、ラグナロクで破壊されなかったイザヴェルに向かいます。バルデルとヘズは復活し新たな時代が始まります。
ラグナロクの終末物語は神々の間、人間と神々の両方に深刻な影響を与える戦いを表しています。インド神話のように、人間はこの神々の間の戦争で「巻き添え被害」を受けます。これはラグナロクと、神に忠実でないものが罰せられるキリスト教的終末とを区別します。
人類は歴史が記録されて以来、「時代の終わり」に惹きつけられてきました。キリスト教では、これは黙示録の書に書かれている「審判の日」です。ユダヤ教ではAcharit hayamim(End of Days、最後の日)、アステカ神話では5つの太陽の伝説、そしてインド神話ではAvatarsと馬に乗った男の物語です。これら神話の大部分は、私たちが終わると知っているときに世界を維持し、世界の新しい化身を生み出します。これら神話や伝説は、単に昼夜、季節、生死の鎖などの自然の循環、またはそう遠くない将来に人類が遭遇する終末を隠喩しているのでしょうか。
原文:The story of Ragnarok and the Apocalypse(Ancient Origins)