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グジャラートの広大なインダス文明遺跡

インダス文明(Indus Valley Civilization)は紀元前3千年紀から紀元前2千年紀に存在していたと考えられています。この文明は約1,210,000平方kmもの地域に広がっています。他の文明と比較すると、紀元前3千年紀にティグリス川とユーフラテス川の間でメソポタミア文明に占領された地域は約65,000平方kmで、古代エジプト文明が耕した地域、すなわちナイル川流域は合計でたった34,440平方kmです。

 

インダス文明の分割
現在、かつてインダス文明によって占領された地域は、主にインドパキスタンの二国間で分割されています。インダス文明の遺跡で最もよく知られる2つの遺跡、モヘンジョ=ダロハラッパーはパキスタンに位置しています。しかし他の多くのインダス文明遺跡はそれほど知られていません。この記事ではインド西部のグジャラート州に位置するインダス文明の遺跡をいくつか取り上げます。

インダス文明、初期段階。 (3300-2600 BC) (Public Domain)

現在知られているインダス文明遺跡のリストには、グジャラート州に位置する合計13の遺跡があります。いくつかは他よりも目立たないにも関わらず、これら遺跡の多くは驚くべき発見を生み出しています。例えば、スールコータダーと呼ばれる遺跡を聞いたことはないでしょう。カッチ県に位置するこの遺跡は、インダス文明全体の中で馬の骨が見つかった唯一の場所として知られている遺跡だと言われています。

数千もの未完成や完成済の生産品そして未加工の貝殻が見つかった貝殻工房。グジャラートにある別のインダス文明の考古学遺跡、ゴーラ・ドーロ(バガサーラー) (Kuldeep, K. et al)

ランプルと呼ばれるアフマダーバード県にある別の遺跡は港湾を持っていたことが発見されました。またスーラト県に位置する別の遺跡マルバンはインダス文明最南端の遺跡だと言われているため、この古代文明の南側への広がりを示しています。

 

ロータル:守られた入江と稲作
グジャラートには、おそらく人々が比較的馴染みのある他のインダス文明遺跡もあります。これらの遺跡の一つがロータルで、これはランプルと同じくアフマダーバード県にあります。この遺跡は1954年に発見され、インド考古調査局(ASI)によって1963年まで発掘調査が行なわれました。インダス文明の人々は港の建設に適したその守られた入江により、この場所に定住するよう惹きつけられたと言われています。

インド、ロータルの波止場と運河。 (Public Domain)

ロータルの人々は古代メソポタミア人や古代エジプト人と交易していたと示唆されています。その上、その肥沃な内陸部は綿花と稲の栽培に最適でした。またこれは現在のところ、紀元前1,800年という稲作の最初期の証拠であると指摘されています。

また、考古学的証拠はロータルには多くの職人が暮らしていたことを示唆します。これは彼らの商店と作業場が工芸品の遺物により示されているという事実によって支持されています。例えば、完成品を含む様々な製造段階のカーネリアン(紅玉髄)・ビーズが数百と原料を加熱する円形窯が見つかった地域があり、ここはビーズ工房だと考えられています。

さらに金細工、貝殻細工、銅細工のような他の工芸がロータルで行なわれたと言われており、ビーズ産業はこの土地の主要な産業であったと見なされています。ロータルは直径0.25mmというマイクロビーズが見つかったことで特に有名です。

 

グジャラートにある他の大規模遺跡
グジャラートにある別のインダス文明遺跡はドーラビーラで、カッチ県に位置しています。この遺跡は1960年代に発見され、ASIによって1990年からほとんど連続的に発掘調査されてきました。ドーラビーラは5つあるインダス文明最大の遺跡の一つだと言われ、他はモヘンジョ・ダロ、ハラッパー、Gharo Bhiro(以上パキスタン)、Rakhigarhi(インド)となっています。

他のインダス文明遺跡のように、ドーラビーラでは都市計画の証拠を見ることができます。この町は考古学者によって、「城塞」、「ミドルタウン」、「ロウアータウン」の3つのセクションに分けられました。この町の側面4つ全てに切れ目なく続く巨大な要塞が見つかっており、その中に貯水槽が並べて設置されているのが見つかっています。さらに都市内部にも要塞化の複雑なシステムが施されているように見えます。

ドーラビーラの居住地域の発掘調査 (ASI)

要塞化の他に、ドーラビーラには特筆すべき水管理システムがあります。例えば、16かそれ以上の様々なデザインや形をした貯水槽が造られて町の4つ全ての側面に配置されています。この町の技術者のスキルを確認するものであることに加えて、これら貯水槽は計画をし美しく整える都市設計者の能力の主要な部分だとも言われています。

洗練された貯水槽。インド、ドーラビーラ。 (CC BY SA 3.0)

ドーラビーラで見つかった言及する価値のある他のものには、墓、印章、朽ちた木の板に散りばめられていたと考えられる10の著しく大きなハラッパー文字(インダス文字)北門の碑文などがあります。見つかったこれらのものは、グジャラートのインダス文明遺跡がかつて活気のある町で交易、農業、職人技の重要地点であったというさらなる証拠をもたらします。

インダス文明のユニコーン印章。インド美術館。 (Public Domain)

原文:Ancient Origins
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