ヨルムンガンド:ロキと巨人の子供
北欧神話において、ロキと巨人の女性アングルボザとの秘密の結合は3人の子供を生み出しました。女神ヘル、フェンリス狼、ミッドガルドの大蛇ヨルムンガンドです。ロキは子供たちの存在をできるだけ長く隠し続けていましたが、彼らは生まれた洞窟に隠れていられないほど大きくそして速くなりすぎてしまいました。
最終的に、オーディンは魔法の玉座フリズスキャールヴに座っている時にロキの子を見て、彼らの力に恐怖しました。オーディンは潜在的な脅威を取り除こうと思い、ヘルにヘルヘイムと死者すべて(選ばれた戦死者を除く)の支配権を与え、ヨルムンガンドを大海に投げ入れました。この蛇はそこで、自分の尾を噛むウロボロスのようにミッドガルドを取り囲むまでどんどん大きくなりました。『ヴァルハラ』にて、J. C. Jonesはこの場面を次のように示しています:
『大海の暗い深みに飛び込み、
日々大きさは巨大に成長し、
その蛇はすぐに世界を取り囲み、
尾を口に入れ、円状に、
無害なままであり、
オーディンの意思により。』
トールとミッドガルドの大蛇
ある日、トールとテュールは巨人ヒュミルに会いに行きました。ヒュミルはトールが2頭の巨大な雄牛を夕食で貪り食べるのを見た時、翌日に釣りに行かなければと判断しました。トールは同行して手を貸すことに決めましたが、自分で餌を確保するよう言われました。そのため、雷神はヒュミルが持つ最大の雄牛ヒミンブリオテル(Himinbrioter、天国破壊者)を殺害しました。彼はその雄牛の頭を切り落とし、船に乗せて漕ぎ出しました。
彼らは海のさらにさらに遠くへ行くと、巨人はトールにいつもの漁場をずいぶん通り過ぎてしまったと言いましたが、神は彼に何の注意も払いませんでした。ヒュミルは海の彼方にいるミッドガルドの大蛇に出くわしたら危険にさらされるかもしれないと指摘しました。トールは彼を無視して、大蛇の真上にいるとわかるまで漕ぎ続けました。
ハインリヒ・フュースリー作。 (Public Domain)
トールは釣針に雄牛の頭を付けた時にわざとヨルムンガンドを狙っていました。この雷神が自分の釣針に忙しくしていた時、巨人は朝食に十分な2頭の鯨を釣り上げました。その後、トールはヨルムンガンドが餌に食いつくのを少し待つ間、もう一度巨人の戻ろうという提案を無視しました。巨人はこの考えをよく思いませんでしたが、従うしかありませんでした。すぐに、トールは引きを感じてできるだけ強く引っ張りました。
ひどい嵐がどこからか始まり、獲物の抵抗から判断して、トールはミッドガルドの大蛇を捕らえたとわかりました。ヨルムンガンドを水の中から出そうとすると、トールの踏ん張った足はボートを突き抜け、悪戦苦闘した後に最終的にミッドガルドの大蛇の頭が水面に現れました。トールは彼のハンマーを取りこの蛇を打とうとしましたが、恐怖した巨人はボートが沈むのを防ぐために釣り糸を切ってしまいました。
ヨルムンガンドは海の底に戻ってしまい、怒ったトールはヒュミルにハンマーの一撃を加えて彼の獲物を失わせました。この一撃は巨人を船外に打ち出したため彼は岸まで泳いで行かなければならず、トールが2頭の鯨をのせたボートで海岸に戻ってくるのを待たなければならなりませんでした。彼らは出会うと、鯨とボートを持って食べるために家に帰りました。
この物語は北欧人に最も愛された神話エピソードの1つで、数多くの芸術家がこれを描いています。
インド神話のナーガ
インド神話において、蛇は高い地位を持っていました。蛇神はナーガとして知られています。これらの神々は大きな蛇または半人半蛇の姿で現れます。『ナーガ』は通常男性単語で、女性の場合の言葉は『ナーギ』です。シンボリズムにおいて、蛇はその脱皮によって象徴的な再生をするため、転生、死、定命を表します。
オピーオーンとウアジェト
ギリシャ神話もまた蛇の神々について語っています。その1つはオピーオーンで、その名前は実際に『蛇』を意味します。オピーオーンはクロノスとレアーによって倒される前に、エウリュノメーとともに世界を統べていたと言われていました。
エジプト神話には、蛇の女神ウアジェトがいます。彼女は都市デプ(ブト)の守護神で、王たちと出産の守護者だとも考えられていました。ウアジェトは有毒なエジプトコブラまたは蛇頭の女性の姿で表されます。
以上からわかるように、蛇は必ずしもキリスト教で見られるように悪と関係しているわけではありません。それどころか、これらの存在はしばしば権力の象徴であり、神々として、彼らは崇拝する人々に守護を与えることもできました。
トップ画:トールとミッドガルドの大蛇、エミール・ドプラー(Emil Doepler)作。 (Public Domain)
原文:Ancient Origins