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オロリン・トゥゲネンシス(Orrorin tugenensis)

オロリン・トゥゲネンシス(Orrorin tugenensis)

約600万年前に生きていたオロリン・トゥゲネンシスは系統樹における初期人類の最も古い種の一つです。この種の個体はチンパンジーとほぼ同じ大きさで、現代人に似ている厚いエナメル質の小さい歯を持っています。この種の最も重要な化石は上部大腿骨で、二足歩行の典型的な骨格の証拠を示しています。つまりオロリン・トゥゲネンシスの個体は樹上で生活していましたが、おそらく地面の上を直立して二足歩行していたということです。

フランスの古人類学者ブリジット・セヌー(Brigitte Senut)とフランスの地質学者マーティン・ピックフォード率いる研究チームは、この種をケニア中央部のトゥゲンヒルズにて発見しました。彼らはおよそ620~600万年前に遡る多くの初期人類化石を発見しました。その化石が持つ猿と人間の新奇な組み合わせのため、研究者らは新たな属と種名をこれらの化石に与えました。オロリン・トゥゲネンシスは現地の言葉で『トゥゲン地域の先祖』という意味です。これまでのところ、オロリン・トゥゲネンシスはオロリン属で唯一の種です。

オロリンとされる化石はケニア西部のバリンゴ湖近くで発見された。

オロリンの大腿骨と上腕骨はルーシーのもの (AL 288-1) に比べて1.5倍ほど大きい。したがって、研究者らはオロリンがアウストラロピテクス・アファレンシスの1.5倍ほどの大きさでメスのチンパンジーと同じくらいだろうと推定しており、体重は約30~50kgであるとしています。

現在までに、この種の化石は少なくとも5体発掘されています。その中には直立していたことを示唆する大腿骨の化石や、木には登れたが腕渡りはできなかったことを示唆する薄い右手の上腕骨の化石、現代の人類とほぼ同じものを食べていたことを示唆する歯の化石も含まれています。オロリン・トゥゲネンシスの化石が大腿骨の臀部側に外閉鎖筋溝を持っていたという事実は、この種が二足歩行をしていたことを示しています。

オロリン・トゥゲネンシスは犬歯が縮小しており、臼歯はアウストラロピテクスよりも小さく、犬歯小臼歯複合体が欠如していました。低く丸みを帯びた大臼歯と小さな犬歯から、古人類学者らはこの種が植物中心の食事を食べていたことを推測できます。これにはおそらく葉やフルーツ、植物の種、根、木の実、昆虫などが含まれます。
化石の発見された場所から考えると、人類の進化の従来の仮説とは異なり、オロリン属は森林に住んでいたとみられています。

オロリン・トゥゲネンシスは、類人猿と人間の共通祖先と同時期に生きていました。人類学者の中には、オロリン・トゥゲネンシスは現生人類の祖先となる基底のヒトであり、アウストラロピテクスと関連しないと考える人もいます。他の人類学者は、オロリン・トゥゲネンシスは人間から分岐して子孫を残さずに絶滅した種だと考えています。

オロリン・トゥゲネンシスに残された謎

  1. オロリンはホモ・サピエンスの直接の祖先なのか?
    もしそうならば、これが人類系統樹の兄弟種であるアウストラロピテクス・アファレンシスを最終的に絶滅に追い込んだのか?
  2. オロリンは日常的に二本足で歩いていたのか?
    オロリンの化石は二足歩行できる可能性を示していますが、必ずしも日常的に行っていたことは示していません。
  3. 二足歩行はどのように始まったのか?
    ある仮説では、初期類人猿はバランスを取りながら枝の上を歩いており、このテクニックが最終的に地面を歩く方法になったと示唆しています。
  4. 最古の人類の候補であるサヘラントロプス・チャデンシスとこの種はどんな関係なのか?
参考:
オロリン - Wikipedia
スミソニアン博物館
eFOSSILS
歯の豆辞典

 

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