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危険視され禁止されたイル・セパラティオ

都合の悪い様々な真実や物語が含まれているというだけの理由で、歴史を通じて数多くの本が禁止されてきました。そのような本は教会や国家の代表によって組織的に追い詰められ破壊されてきました。いくつかの写本は毒されもした結果、これを読んだものは最終的に致命的な毒で死んでしまったとして、呪われているという風評をその本に与えました。それはイル・セパラティオとして知られる存在についての物語について言及されたり語られているものでした。

聖書は次のように言及しています:『神は「光あれ」と言われた、すると光があった。神は光を見て良しとされた、そしてその光と闇とを分けられた』。伝説によると、この光と闇の分割はイル・セパラティオ(分割、セパレーションを意味する)として知られる存在の形を成しました。

この存在は善でも悪でもないと見なされました。その代わり、完璧で究極の中立性を表しました。この伝説は神と悪魔の間に第3の存在を置いたため、中世の教会は人々に神とイル・セパラティオのどちらが最強なのか疑い始めて欲しくありませんでした。

イル・セパラティオは、教会が認めない第3の選択肢を与えました。教会の教えによると、良い人々は天国に行き、悪い人々は地獄に行く運命だとされていました。カトリックの場合、立場が不明確であったならば、その者は煉獄に行くことになっていました。もしその者が煉獄で善行をすれば、天国へと進みました。もしも悪行をすれば、地獄へと行きました。イル・セパラティオがこの均衡に参入するまで、全ては非常にシンプルでした。

この存在は、人々が罪を犯したのと同じくらい良いことをしたと主張することができました。そのため、人が悪行と正確に同じ善行をしていた場合、その者はイル・セパラティオに属すると言われました。

この存在の能力を議論した中世のテクストはさらに複雑になりました。伝説によると、イル・セパラティオの能力は『absolutum(アブソールトゥム)』、『絶対的』を意味します。このような表現では、中世の教会がイル・セパラティオについて言及した全ての本を禁止し、異端審問が敢えてその名を口に出す全員を追い詰めたことは驚くことではありません。そのため、イル・セパラティオはアノニームス、『匿名者』『名も無き者』『名前を付けるべきでない者』として知られるようになりました。この存在であるアノニームスを呼ぶことは、異端審問から守る手段を人々に与えました。それでも、この存在を含む本への守りはわずかでした。

イル・セパラティオ像。プラハ。 (beatbull / flickr)

イル・セパラティオについて言及した数少ない本の一つは現在にも残っており、主な2つを示すことができます。それは『コンペンディウム・オーグメントゥム(Compendium Augumentum)』と『コデックス・ルグブルム(Codex Lugubrum)』です。(コデックス・ルグブルムはラテン語でも次の題名で印刷された:D. Hilarii Pictauorum episcopi Lucubrationes quotquot extant : olim per Des. Erasmum Roterod. haud mediocribus sudoribus emendate.)

初めの本はイル・セパラティオと戦士アショールの物語を語り、2つ目は同じ物語を異なったより詳細な形式で語っています。2つの写本が現存している『コデックス・ルグブルム』は、両方ともヨーロッパの個人コレクションから見つかっており、イル・セパラティオに会った残忍な戦士の名前がアマンテス(Amantes)に変わっています。

アマンテスはその人生で善行と悪行の両方を行ないました。実際には、彼は悪行とちょうど同じくらい善行をしていました。そのため、悪魔と天使の両方が彼の魂を巡って戦い始めた時、イル・セパラティオが現れて彼らを退け、彼の中立性を振りかざしました。悪魔はアマンテスが多くの悪行をし、その結果、彼は地獄に属すると主張しました。天使は戦士が多くの善行をし、その結果彼を天国に連れていくと主張しました。イル・セパラティオが現れた時、彼は簡単に、この男は悪行と同じだけ善行を行なったため、他の二者は彼をとることはできないと話しました。

イル・セパラティオが悪魔と天使を退けるため手を合図するように振ると、ただちに両方とも消え、片方は地獄にもう片方は天国へと送られました。精妙な形式では、これはイル・セパラティオの絶対的な力を象徴します。中立性に関して、この存在は外形が無くてもとても中立であったと言われています。目に見えるように、他者から見えるように、イル・セパラティオは常に長い黒のフード付きクロークの姿で現れますが、そこから突き出す腕も脚も顔もありません。これは中立な表現であり、アノニームスのとらえどころのない正体です。

イル・セパラティオの最も禁じられた側面は、彼がもたらした選択肢です。天使と悪魔が去った後、アマンテスの傷は全て癒されて彼の外見は30歳という理想的な年齢に戻されました。また、彼は不死になり強大な力を持ったと言われています。彼はもはや死ぬこともなく、病いに伏せることもありません。彼は若くて強く、ただ精神の力を使うことで望むことはでき、望む場所に旅することができました。伝説は彼が別世界(太陽の上や太陽内部、同じく石や鉱物の中)に自身を転送できるとしています。

カバラ・スペクルムのイラスト、1654年。 (Public Domain)
※原典はシュテファン・ミヒェルシュパヒャーのCabala: Spiegel der Kunst und Natur, in Alchymia(1610年)。

別の古い禁止テクスト『カバラ・スペクルム(Cabala Speculum)』は、人間は神々自身になることができると示唆する壊すべき全創造の鎖に繋がれた男女を描いた版画を含んでいます。同様に、アマンテスを縛っていた鎖は全て消えました。彼は完璧に絶対的に自由となりました。これは自由と「システム」から抜け出ることの両方で、これがイル・セパラティオの本当の意味です。

本当か単なる伝説か、イル・セパラティオの物語は魅力的で、すぐに忘れられる物語ではありません。

 

※現在シュテファン・ミヒェルシュパヒャーの版画カバラについては海外論文を読んで解釈を学んでいる最中です。この版画カバラは錬金術の寓意が豊富であり、イル・セパラティオと関係しているかはまだ分かりませんが、その像が錬金術都市として栄えたプラハにあるという事実は興味深いです。

トップ画像:Deriv; Unidentified ancient manuscript (CC BY 2.0), Il Commendatore in Prague. (CC BY 3.0)

原文:Ancient Origins

コメント (1件)

  1. やったやったやったー!
    イル・セパラティオについての新しい情報だー!
    グーグル自動翻訳で何とか読もうとしたけど意味不明でわけがわからなかった記事を翻訳してくれたなんて!
    やっぱりちゃんと翻訳されたものだと記事の内容がしっかりわかりますね。
    前回の記事といい、今回のもよりイル・セパラティオに魅了される話ですね。
    それにしても、中世の教会の人々が行った行為のせいで、今の時代まで悪影響が及ぼすとは・・・。
    本の数だけでも、もう少し残してほしかったですね。
    それにしても、イル・セパラティオの話にカバラが出てくるとは驚きですね。
    カバラが関係しているのであれば、カバラの創始者もイル・セパラティオの存在を知っていた、もしくは直接会ったことがあったりするのかもしれないですね。
    その情報をカバラの中にこっそり入れていたりとかしてくれていたら嬉しいんですけど。
    僕もカバラについてもうちょっと詳しく調べようかな。
    何はともあれ、この記事を翻訳してくれたのには本当に感謝しています。

    • 1583年頃のプラハはヨーロッパ最大の錬金術都市となっていて、ユダヤ人も多く、ラビ・ユダ・レーフやピストリウスという人物を中心にしてカバラ研究も盛んだったようです。
      錬金術の考え方に対立物の調和というものがあるので、善と悪の調和でシステムを抜けるという物語が寓話として使われたのかもしれません。

      Ancient Originsのイル・セパラティオ記事については色々言われているようなので、これからもチェックしていきます。
      ちなみに銅像を作ったのは、アンナ・クロミイ( http://bit.ly/2f41rxi )というチェコの女性芸術家のようです。

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