世界中の古代文化が、強力な宗教的シンボルによってすべて繋がっていたという重要な証拠が今では存在しています。『ゴッドセルフ・アイコン(Godself icon、神自身の肖像)』と私が呼ぶこのシンボルは、ピラミッド文化において特に目立っています。
※今回はRichard Cassaro氏がAncient Originsにて書いた記事を翻訳しています。文中の私というのはCassaro氏のことです。
ピラミッド文化は『トリプティク・テンプル』と『ゴッドセルフ・アイコン』を共有している。
私の2011年の著作Written in Stoneにおいて、これらピラミッド文化すべてが同じ3つの入口を持つ『トリプティク・テンプル(Triptych Temple、三連の神殿)』のパターンを採用していることを明らかにしました。私が公表した別の発見は、中央に描かれている、英雄もしくは神が正面を向きそれぞれの手に同じような物や動物を持っている、ゴッドセルフ・アイコンに関するものです。
ゴッドセルフ・アイコン
私の新しい著作The Missing Linkは、エジプト、インド、中国、ペルシャ、メキシコ、ペルー、コロンビア、そして古代ヨーロッパなど多様な文明において、ゴッドセルフ・アイコンが中心的な役割を担っていた証拠である500以上の壮大な画像を示しました。
ゴッドセルフ・アイコンは世界中で見つかっている。
十字架のシンボルが何百万人ものキリスト教徒を一つの普遍的な宗教の下に団結させるように、ゴッドセルフ・アイコンのシンボルも私たちの古代祖先に同じことをしています。
ゴッドセルフ・アイコンは世界中で見つかっている。
トリプティク・テンプル
古代の似たような技術や建築(ピラミッド建造物、持ち送り式アーチ、ミイラ作り)はいつも私の興味を引き、旅を始められるよう、若いときにさらに多くの同様な建造物を見つけられるよう調査するための多くの努力をしました。
古代人は共通の知恵と、おそらくは共通の伝統を共有していた。
Written in Stoneは、組織化した中世の石工ギルドが普遍的宗教の失われた秘密をゴシック様式の大聖堂に埋め込むことで、どのように宗教的物語を司祭から取り戻そうとしたかという武勇伝を語っています。ガーゴイルはキリスト教とは何の関係もありません。この石工たちは1717年に公式に歴史の表舞台に現れました。彼らを『フリーメイソン』と呼びます。両側に小さな扉が2つある大きな中央扉、中央エントランスホールの両側にある2つの塔を必要とするゴシック様式の大聖堂の一般的な設計は、エジプトやメキシコ、ペルー、中国、インドなどにある異教の神殿の記憶であると私は気が付きました。
両側に小さな扉が2つある中央扉は世界中の建築に見られる。
中央扉は『源』で、体の中の『魂』です。2つの扉は、魂の両側を囲む対立する二重性の体の力で、人生において魂はこれに直面し極めなければなりません。
トリプティク・テンプルの普遍的宗教はフリーメイソンの他に、ピュティアス騎士団、スカル&ボーンズ、シュライナーなど秘密結社の基盤を形作り、それら全てが本部に三連扉の入口を使っています。
トリプティク・テンプルの失われた普遍的宗教。
ニューヨークにあるロックフェラー・センターのメインファサードは、現代で最も印象的な秘伝的三連の一つを描いています。釣り合いが取れる正反対の男性像と女性像の間にある中央出入口は『神』を示しています。注目すべきなのは、神がフリーメイソンの重要なシンボルであるコンパスを持っていることです。
三連扉のファサード。ニューヨーク、ロックフェラー・センター。
三連扉と同様に、ゴッドセルフ・アイコンは対立する身体の力のバランスを取る英雄の魂やサーガを表し、それぞれの手に一対となる物をシンメトリーに持った姿で表されます。ゴッドセルフ・アイコンは、私たちの中にある一対の対立する力のバランスを(瞑想によって)取り、身体的・精神的な力を慎重に洗練させることで、私たちの内なる強さと霊的な潜在能力を成長させるよう呼び掛けます。
一神教や多神教において馴染みのある外部の『神』という概念は、宗教の真の目的だと私が信じることから注意をそらすもので、私たち自身の永遠の人間性を認識し、自身の内部に『神自身』を育てるためのものです。
ゴッドセルフ・アイコンは、スターバックスのような企業のロゴにインスピレーションを与えています。
ゴッドセルフ・アイコンの美しいバリエーションがロックフェラー・センターにて目に入ってきます。『正反対の一対』は、左右の女神像の上にある喜劇と悲劇のマスクに象徴されています。
黄金時代(ゴールデン・エイジ)
ゴッドセルフ・アイコンの起源は、先史時代の昔に存在したであろう黄金時代の『母体文化(Mother Culture)』まで辿ることができます。何人かのビクトリア朝時代の学者は黄金時代をプラトンのアトランティスや、一定期間における文明の栄枯盛衰が約25,000年かかる春秋分点での黄道の歳差運動と一致するという考えと関連付けています。プラトンはこれを『グレートイヤー(Great Year)』と呼びました。古代ギリシャ人は、プラトン以前の人々も、このグレートイヤーを季節と結びつけました。同様の理論は、マヤとアステカのカレンダーやヒンドゥー教のユガ(Yuga)という概念の背後に存在しています。
最近、オルタナティブな(伝統からはずれた)研究者の中にはこの黄金時代という考えに固執して、これが『技術的に』進んだ文明が遠い昔に栄えていた、と主張している人もいます。これらの研究者は古代人が私たちに伝えようとしたことに注意を向けるよりも、遠い昔に自分たちの考え方を投影するというミスを犯しています。プラトンは黄金時代について、『技術的に』でなく『霊的に』進んだ文明として記述しています。この文明の終焉は、アトランティス人が彼らの『神の』性質(彼らの神自身の性質)を識別しなくなったために訪れました。
『多くの世代にとって…彼らは規範に従い、似ていたため神を愛していた…しかし彼らの中の神の要素が弱くなった…そして人間の特性が優勢になり、彼らは節度を持った繁栄を支えられなくなった。
-プラトン、ティマイオス』
驚くべき発見 より古代=より進歩
私たちは古代祖先によって残された象徴の共通言語だけでなく、トリプティク・テンプルのような共通の建築にも黄金時代の名残を見ます。古代文明は石工の優れた技術によって特徴づけられます。古代の石工に関する最も驚くべき事実の一つは、最も偉大な業績の多くが最も古いものであるということです。
最も古くからある石造建築は最も進歩している。
例えばイタリアでは、エトルリア人の水路やモニュメントは後のローマ時代の建造物よりも隙間なく積まれています。クフ王の大ピラミッドは、周囲にある下位のピラミッドよりも数千年古いものです。スペインのセゴビア(ローマ帝国だとされる)にある水路は後のものより遥かに進歩しています。古代世界における多くの技術の発展は、多くの場合に進歩よりも衰退や悪化を反映しているようです。おそらくこれは実際に文明の栄枯盛衰というグレートイヤーサイクルの本物の結果で、1万年前に霊的成果の偉大な時代が現れた場所で、次に精神的な衰退が加速し続ける時代が続いてきました。私の新しい本の目的は、理解して最終的にこの衰退を反転するために、人間の過去の真実を明らかにするのを助けることです。
メイソンのゴッドセルフ・アイコン
ゴッドセルフ・アイコンの意味を照らし出す多くの証拠は、コンキスタドールや十字軍、モンゴル人の大群、奴隷商人によって破壊されました。私の発表は、ゴッドセルフ・アイコンのような古代シンボルの現在への保存について、中世の石工の重要な役割を強調しています。ゴシック様式の大聖堂はゴッドセルフ・アイコンの素晴らしい例に満ちあふれています。
大聖堂にあるゴッドセルフ・アイコン。
私にとっての決め手は、1613年に出版された両性具有的な錬金術の絵画であるRebisのイメージです。太陽は右肩に、月は左肩にあります。
Rebisは同様の二重性を備えているフリーメイソンのトレースボードの原型です。トレースボードのように、Rebisのメッセージは中心を見つけるために正反対のバランスを取る古代の慣習に関係する神秘的な技術によって二重性を克服することです。Rebisの左右の手にあるフリーメイソン的な直角定規とコンパスに注目してください。驚くほど高度な石造建築物(ピラミッド、水路、大聖堂)を立てるために使われたシンプルな道具で、この建造物は古代人の『技術的』な力ではなく、彼らの『霊的』な中心性を示す証として現在まで残っています。
ほとんどのフリーメイソンは、そのシンボルが何を意味するかわかっていません。私の研究は、『フリーメイソンの失われた秘密』が『インカ人の失われた秘密』と同じであり『エジプト人の失われた秘密』と同じであることを確信させます。エジプトとペルーのように遠くはなれていても形と意味が同一であるゴッドセルフ・アイコンは、人類の起源と運命を理解するための重要な鍵なのです。
Richard Cassaro氏のウェブサイトはこちら。
画像はRichard Cassaro氏によるものです。
原文:Ancient Origins